2024 05,20 15:00 |
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2010 03,26 00:00 |
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今回は特別編。本作では心葉君以外にも書いてることあったよね。そんな感じで。
心葉君の10作品以外の方で走ってみようかな。 三題噺といいつつも、 今日のお題は、“サクラ”と“さくら”と“桜” 制限時間は、きっかり五十分じゃない。日々気ままに。40分。 自分が変わったのだろうか。 いや、自分は変わっていなくて、みんなが変わったのだろうか。 僕はそういう所には疎い性格なのであまり分からないのだけれども。 別に、家に居場所がないとかそういうのじゃなくて、なんだか家にいられない気分だった。 そういう時に決まってくる場所がある。 吉野川だ。 吉野川の河川敷でぼんやりと川の流れを眺める。 和歌山県側では紀の川というらしいが、僕は吉野川の名前の方が絶対にいいと思うのは、地元だからなのだろうか。 誰も読まないであろう上流のダムの放流への注意喚起の錆びて読めない立て札。それが僕たちのいつもの集合場所だった。 今日は何も言わないでここに来た。 けれども、やっぱりわかっていたらしい。相方が大きな岩で歩きにくい足場をラクラクと来た。 そして、声をかけてきた。 「知ってる?そろそろシーズンが始まるんだよ」 「知ってるとも、なにせ地元だからね。お寺の境内の桜もつぼみが膨らんできたからね」 「そうなの?でも、吉野山の方はまだそこまでじゃなかったよ」 「おじいちゃん?」 そう。おじいちゃんが言ってたよ。そういう彼女は、ニッコリと笑って言った。 「吉野山も確かに沢山あって長い期間楽しめるけど、北千本木とかが咲く頃には葉桜だったりするし、楽しめないよね」 「まだ、川沿いのほうが本当の一面だから楽しめるよね」 そうだよね。そう言った彼女。 サクラ色したスカートを風が、なびかせる。 遠くから聞こえるは、自動車の行き交う交通量の国道の音。 近くに見えるのは、なにわナンバーの投げ捨てたゴミ。 30分に一本しか走らない電車。大阪行きの唯一の路線。 もっとも、奈良交通のバスはもっと来ないのだけれども。 「そろそろだね」 「うん、そろそろ」 ゴゴゴという、鉄橋を走る音。時報の音は、近鉄電車。 山の合間から飛び出した2両編成の電車が、ゆっくり走る。 終点吉野駅まではすぐそこだ。 Nationalの錆びた看板。錆びた電池の自動販売機。 シャッターが上がったのは随分前の話。 だけれども、このシーズンだけは、河川敷でバーベキューする人に対して冷たい飲み物を土日限定だが売っている。 「おばちゃん、コーラ持って行くよ、いい?」 「またアンタたちかいね、わかったよ」 おばちゃんと仲がいいので、売り物の飲み物を勝手に持って行く。向こうもわかってるから、出来る技。 冷たいコーラ。オレンジジュース。 二人して飲んだ冷たい味。 なにも言わなくても通じる味。通じる空気。 「明日、だね」 「うん……。そうだよね」 制服の二人。胸には造花で出来た飾り花。 似合わないブレザーも、家に帰れば袖を通すことも、もうない。 おばちゃんのところに投げてきたカバンの中には卒業証書。 偶然を装って帰り道、彼女を待ったあの日も、明日からは絶対に来ない。 二人ともサクラは咲いた。 咲いたのは別の方向。それだけ。 あと数日立てば桃色に、そして一週間ほどすれば、綺麗な桜色に移り変わる。 その頃には僕は新天地。風に飲まれて都会の風を。 彼女はこのままこの場所に。 「今年は寒かったからね」 つぼみの桜は未だ咲かず。去年なら既に咲いていたのに。 でも、僕が目に焼き付けた景色は、桜色。 去年のことも、昨日のように思い出せる。 その時も、今日と同じく相方もいた。 居なかったことが無かった。 サクラ色したスカートに小粒な冷たい色が、降り注ぐ。 座り込んで、手で覆った彼女。 声をかけようとしたが、かけられなかった。 川を跨ぐ鉄橋を走る、近鉄特急。 彼女が泣いていたのかは、鉄橋を走る音で分からなかった。わかりたくなかった。 なぜなら、自分も視界がゆがんでいたから良く見えなかったのだから。だから、わかりたくなかった。 二人から音を奪った近鉄特急。 さくら色した、さくらライナー。 2両編成がガタンガタンと走り去っていく。 さくら、さくら。 ふわりとした季節に、しずくが一つ。 水面に映る一つの影は、支え合っていた。 桜が今咲くか、「来年」咲くかの境目になりました。 国公立の後期発表も終わりです。 善し悪しなどと他人の選択をとやかく云う立場には「本人の問題」であり、部外者である以上、何も言えないのですが、 今年度はこれで「終わり」です。 卒業旅行するブログを見ていると、 「9月」の時点で緻密過ぎて私も分からないダイヤ設定を企画した「あのホージー」と音信不通でありまして。 「卒業旅行」が「入学旅行」に、日程的には「GW」か「夏の小旅行」にまで押し込み具合。 あえて、桜。 桜ノ宮と森ノ宮を聞き間違えて、その節には大変ご迷惑おかけした国土面積でした。 三寒四温の日のこと。 そんな風の強い雨の日のこと。 PR |
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